焼きたてのパンで地域に笑顔を 亡き夫の思い胸に、女性パン職人が奮闘 秋田・大仙市 (24/07/12 22:00)

焼きたてのパンで地域に笑顔を 亡き夫の思い胸に、女性パン職人が奮闘 秋田・大仙市 (24/07/12 22:00)

秋田県大仙市に手作りのパンで地元の人たちを笑顔にしているパン職人の女性がいる。いまは亡き夫の思いを胸にパン屋を続ける女性を取材した。

焼きたての菓子パンや目玉焼きがのった総菜パン。種類豊富なパンが所狭しと並ぶのは、大仙市大曲にある「焼きたてパン ポッポ」だ。

店を切り盛りするのは、地元の大曲出身の小泉佳織さん、33歳。

小泉さんは、幼いころからの夢である「パン職人」を目指して東京のパン屋で修業し、修業先で同じ夢を志す夫の拓也さんと出会い、結婚した。

5年前に「故郷で子育てがしたい」と大仙市に帰り、夫婦でパン屋を始めた。

 焼きたてパン ポッポ・小泉佳織さん:
「まだ小さかった息子がポッポ(機関車)が大好きで、おじいちゃんやおばあちゃん、小さい子でも覚えやすい名前がいいと思い、店名を『ポッポ』にした。毎日でも食べてもらえるような価格。安くておいしいパンを出したいと今も続けている」

店の名前の通り、店内の至る所に息子の大好きな機関車「ポッポ」が飾ってある。

「パンがリーズナブルでおいしい」と親しみやすい名前とともに口コミで広がり、瞬く間に人気店となった。

しかし、2023年の秋に夫の拓也さんが病に倒れ、亡くなった。

大きな悲しみの中にあった小泉さんだが、地域の人たちからの応援を受けて店を続けることを決心した。

 焼きたてパン ポッポ・小泉佳織さん:
「子どもたちはもちろんだが、大変だったときに地元の人がメッセージをくれたり、店に応援の品を持って来てくれたり。客に支えられた」

1人で店を切り盛りする大変な時期を乗り越え、現在は母・孝子さんが店を手伝っている。

家族に支えられながらパン作りに励む小泉さん。自慢の看板商品が「塩パン」と「極ふわメロンパン」だ。多い時には、一日で計100個も売れる人気がある。

「塩パン」は生地をバターで包み、ヒマラヤ岩塩をかけて焼き上げた食感が楽しめる一品だ。

塩パンの特徴について小泉さんは、「下が中から溶け出したバターでカリカリになっていて、上の生地がもちっとなっている。うちの塩パンを食べたら『他の店の塩パンを食べられなくなった』と言ってもらえるくらい、他の店で食べる塩パンとは違った食感と味が楽しめる」と話す。

一番人気のメロンパンは、夫の拓也さんと考案したものだ。

「主人が修業先で教わったものを自分たちなりにアレンジした。生地がすごいふわふわだが、沖縄県産の黒糖を使ってじっくりこね上げることでふわふわにしている」と教えてくれた。

この日もメロンパンを目当てに店を訪れる親子の姿があった。

 客:
「子どもたちも大好きでこの店のパンが。さっきもすぐメロンパンを手に取っていて、無いとしょんぼりする」

「メロンパン大好きだもんね」と問いかけられた男の子は「うん」とうなずき、笑顔を見せた。

小泉さんの飾らない人柄と手作りのパンが地域に愛されているポッポ。

亡き夫の拓也さんと店を始めて5年。小泉さんは今後について「客に愛されている状態を維持していくことと、息子が『ポッポ(パン屋)になりたい』と言ってくれているので、それまでは頑張りたい。今後も地域の人に愛されるパン屋を続けていきたい」と語る。

季節限定の新作も販売しているポッポ。小泉さんはこれからも、愛を込めたおいしいパンで笑顔を届ける。

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